著者:カミツキレイニー (著),
イラスト:文倉 十 (イラスト)
出版社:ガガガ文庫
彼氏にフラれて校舎の屋上で自殺しようとした少女がエキセントリックな生徒に屋上出会い十代の高校生が抱えるであろう「うぁわっ」という問題に連帯感をもった友人としてかかわっていく青春群像のような物語です。
で、このメンバーの抱える問題なのですが、クラスで苛められていた少年ライオン、妻子持ちの先生に恋した様に見えて実は人に頼ってしまう自分が嫌で自分に復讐しようとしている少女のカカシ・・オズの魔法使い登場キャラの名前をつけてくらた知人が屋上から落ちてこん睡状態になってしまった原因である自分を悔やんで屋上を燃やそうとするブリキとかなりヘビーで重たい悩みというか・・この辺りはリアルにはない小説の世界だからこそという感じです。
ここでいう連帯感というのは多分ですが大人になる少年少女が思春期に抱えるさまざまな重たい問題を共有しているという所でしょうか。そしてこのゆるーい連帯感の元、それぞれの問題の原因である対象に協力して復讐をしていくという流れとなっています。この作品では、この連帯感というをオズの魔法使いのキャラクターに例えてあだ名として呼び合う形になっていますが、つらいことを同世代と共有し分かちあう上でこういした退行的なオマージュはやっぱり必要なんでしょうね。
という訳で、現実世界ではありえそうな「失恋」という苦しみを経験した主人の少女はオズの魔法使いでいうドロシーということでやっぱりまとめ役というか最後にクロージングにもってくるというところがよく出ているようなないような・・
そういう意味では青春って童話の世界みたいな感じのモノなのかもしれません。
こうして彼は屋上を燃やすことにした (ガガガ文庫)
発売日:2011/5/18
あらすじ(Amazonより):
「他に好きな人ができたんだ」 「い、嫌だっ」
彼氏にフラれた私・三浦加奈は、死のうと決意して屋上へ向かう。けれどそこで「カカシ」と名乗る不思議な少女、毒舌の「ブリキ」、ニコニコ顔の「ライオン」と出会う。ライオンは言う。「どうせ死ぬなら、復讐してからにしませんか?」そうして私は「ドロシー」になった。西の悪い魔女を殺すことと引き替えに、願いを叶える『オズの魔法使い』のキャラクターに。広い空の下、屋上にしか居場所のない私たちは、自分に欠けているものを手に入れる。第5回小学館ライトノベル大賞・ガガガ大賞受賞作。心に残る、青春ジュブナイル。
くろ: 思春期の重たーい問題に悩む登場人物をオズの魔法使いのキャラを演じながら復習していくというのは10代の少年少女達にとっては打ち解けやすい舞台装置としてはある意味シックリきましたが、なんかこう不思議な印象が残る作品です
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