著者:石川 博品 (著)
イラスト:切符 (イラスト)
出版社:ファミ通文庫
人族の少年、山森頼雅と吸血鬼の少女、冴原綾萌、昼と夜と全く違う世界で社会生活を営む2人の高校生が出会い恋に落ちる物語です。本来触れ合うことが少ない隔たれた社会。この物語では、主人公の少年が両親の営むコンビニでアルバイトをすることから、旧血族の少女との接点を持つにことになります。
コンビニで深夜に紅茶を買っていく不思議な少女、冴原綾萌。10代の恋愛でよくある一目惚れという感じだと思いますが、その少女に普通に興味を持ち、惹かれていく主人公。そこまでは普通に出会って恋に落ちてという恋愛モノなのですが、冴原綾萌は吸血鬼(ヴァンパイア)族。物語の世界観としては2つの種族は対外の存在を認めていて、吸血鬼もきゅけつ衝動がそこまで強くない種族になっているということですが、それでも異種族の2人が結ばれるにはいろいろな壁や双方の社会で文化や考え方に由来する誤解なんかがあるわけです。そいういう壁を乗り越えて、お互いが惹かれ逢う・・という10代の2人のある意味ピュアなラブストーリーというのは、よくあるモチーフですが、胸をキュンキュンさせてくれることは間違いないと思います。
ヴァンパイアと人間は外見は全く一緒です。街中ですれ違っても吸血鬼だとは見た目だけだと気づかない・・。でも異なる種族で吸血衝動を持つ吸血鬼に対していろいろな偏見があったりして・・
コンビニのバイトで目にしたヒロインが吸血であることを知る主人公。彼女を通して吸血鬼の知人等とも知り合うようになりますが、ふたを開けてみると人族の普通の高校生と同じだ・・。と認識する主人公。
でもこんな風に血を飲むのってやっぱり吸血鬼って感じです。ただしヒロインの少女は、思いを寄せる男の子の前では血を飲むのを見せたくないっていうのはリアルに分かる気がします。
ヴァンパイア・サマータイム<ヴァンパイア・サマータイム> (ファミ通文庫)
発売日:2013/12/30
あらすじ(Amazonより):人間と吸血鬼が、昼と夜を分け合う世界。山森頼雅は両親が営むコンビニを手伝う高校生。夕方を迎えると毎日、自分と同じ蓮大付属に通う少女が紅茶を買っていく。それを冷蔵庫の奥から確認するのが彼の日課になっていた。そんなある日、その少女、冴原綾萌と出会い、吸血鬼も自分たちと同じ、いわゆる普通の高校生なのだと知る。普通に出会い、普通に惹かれ合う二人だが、夜の中で寄せ合う想いが彼らを悩ませていく……。夏の夜を焦がすラブストーリー。
しろ: 10代の恋愛ってなんだかんだ言っていろいろ障壁があるというのが、一般的な雰囲気というか風潮というのものがあるように思います。10代後半を迎える高校生って子供なの?それとも大人なの?っていう社会の解釈など微妙な線というのもそれに当たるかもしれません。この物語は、そう言った前提の10代の恋愛像を、吸血鬼と普通の人族異種族という去らない障壁を構えているところに面白さが倍増する要素があるんでしょうね。
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