著者: 三秋 縋 (著)
イラスト:
出版社:メディアワークス文庫
失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじりの2人の切ない恋愛ストーリーです。2人は社会に適用できない側の人間として社会復帰のためにリハビリ施設に通ううちに知り合い惹かれていきます。ただ、これが寄生した「虫」による者だったことが後に診断で分かります。そう、これは偽りの恋だったのですが、ただそれは切っ掛けであって、それに身を任せることを決断した高坂はそれも意思として彼女に自分の気持ちを伝えます。ひじりは偽りの恋かと思っていた恋から本当の恋ができた、そして愛する人に抱かれながらその胸の中で死んでいくという結末となるわけですが、最後に「心が通じあう幸福感」、「快感というか唯一の幸せ」というもののために人は命を燃やす尽くすもの・・という命の灯のしがなさというか切なさを実感させてくれる物語だと思います。
人ってやっぱり孤独なまま朽ちることは耐えられない生き物なのかもしれません。たとえそれが、偽りの恋であっても、きっかけとして心が通い逢い確固たるお互いの気持ちが確認できれば満たされるという深い愛の概念というか逆に刹那過ぎて切ない蛍のようなラブストーリーはじんわり胸にくるものがあるように思います。
恋する寄生虫 (メディアワークス文庫)
発売日:2016/10/25
あらすじ(Amazonより):「ねえ、高坂さんは、こんな風に考えたことはない? 自分はこのまま、誰と愛し合うこともなく死んでいくんじゃないか。自分が死んだとき、涙を流してくれる人間は一人もいないんじゃないか」 失業中の青年・高坂賢吾と不登校の少女・佐薙ひじり。一見何もかもが噛み合わない二人は、社会復帰に向けてリハビリを共に行う中で惹かれ合い、やがて恋に落ちる。しかし、幸福な日々はそう長くは続かなかった。彼らは知らずにいた。二人の恋が、<虫>によってもたらされた「操り人形の恋」に過ぎないことを――。
しろ: 人はみな一人では生きていけないというのが基本にはあるのかもしれません。人生には1人の最愛のパートナーさえいれば十分。たとえ過ごす時間が刹那な時間でも、確固としてお互いの愛情と心の通い逢いが確認できればそれが一番満たされるのだー。という何とも哲学的で切ない物語がなんとも言えない余韻を残してくれる作品です。
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