著者:希 (著)
イラスト:こずみっく
出版社:ガガガ文庫
貧乏なバックパッカーをしている大学生の比良坂半(ひらさかなかば)は妖艶な美少女、笠縫(かさぬい)と旅先出会い一目惚れしていまいます。ただし彼は惚れた女が食べたくなっていまうというちょっと変わった恋の告白をする人みたいです。少女の妖艶が香りが美味しそうって感覚で、一口だけでも味見したいって思っちゃうみたいですね。
笠縫(かさぬい)という謎の少女はそんな少年の食い気を不思議な空間で未知なる料理を堪能させることで紛らわせるような感じがあるのですが、言葉づかいも仕草も古風で和風な笠縫という少女のエキセントリックな存在と、不思議な感情を持つ青年2人との幻想的に紡がれる旅情的な物語になんだか落ち着いた郷愁を感じるのが不思議な作品です。
主人公の青年は、同じ場所にとどまるとだんだん味覚が感じられなくなったり、惚れた女に対して何とも言えない「食欲」を感じてしまうという性質の持ち主です。妖姫という立付となっている笠縫という妖艶な少女をめぐる旅の終わりでお紺われるであろう「おとむらい」という着地がどんなものになるのか・・幻想的なグルメ(恋物語?)を読みながらまったりと楽しめる作品だと思います。
一目惚れした笠縫への不思議な食欲を我慢しながら、戦前の日本のようなレトロな風情のある不思議な空間の中で、未知なるグルメがる事をしる主人公です。
食べ物の描写なんかも美味しそうで読んでいると別な意味でお腹が空いてきそうな感じにならなくもないのですが、美味しそう感と笠縫の平安時代のような古式言葉遣いとときたま表現される笠縫の妖艶さと彼女を味見したいといってもあしらわれる主人公の特異な感じが不思議な世界観を感じさせてくれる作品だと思います。
妖姫のおとむらい (ガガガ文庫)
発売日:2016/11/18
あらすじ(Amazonより):
幻想グルメをご堪能あれ。
ある日、比良坂半は旅先で奇妙な空間に迷いこむ。 そこで妖の少女と出会い、未知なる食の存在を知る。 それからというもの、どうにも変な場所、変な空間に迷いこむ癖ができてしまったようで、以降たびたびそういった場所や者や物と遭遇してしまう。 それは旅愁とか郷愁に訴えかける、ちょっと古い時代の景色のように見えて、正確にはそうではない。 例えば古書に語られるような妖怪と出会ったり、一見猫の額程度の藪の中で、うろんな器物に迷わされたり、あるいは山奥の奇妙な村落で、幻の沼地を巡る儀式に巻きこまれたり──。 妖の少女、妖姫はそんな青年と行を共にして、彼を救ったり救わなかったり。 そうして青年は、時々発作的に訳のわからない食欲を妖の少女に催したりもして──。
第一話:「風鈴ライチの音色」
第二話:「焼き立て琥珀パンの匂い」
第三話:「ツグミ貝の杯の触り心地」
第四話:「ホロホロ肉の歯ごたえ」
幻想的な旅と、奇妙な味覚の数々。 そして、二人の旅はゆるゆると、続く――。
くろ: 食と美少女の組み合わせってこんなにシックリくるんですねー。というバランスがいい感じの作品。この世のものではない美味しい食べ物に舌鼓をうちながら妖姫を味見したくなる衝動をいだいてしまう主人公って食と性ってやっぱり似ているものなんでしょうか・・。
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