著者:江波 光則 (著)
イラスト:
出版社:ハヤカワ文庫JA
今の日本とあまり変わらない近未来。その未来でとある一族が建造していくアルカディアマンション。そのマンションを通して社会が変わっていく様がゆっくりとですが、終末思想を彷彿とさせる厭世感がただよう感じです。
一族が建造する巨大なマンションは、アルカディアマンション呼ばれ、一族が世界の終末に備えて建てたというもの。
この施設に住めば、働く必要はなく、娯楽を消費さえしていれば生きていけるという、まるで古代ギリシャの都市国家の市民のような生活が送れるという設定です。
古代の時代の市民権の背後には動労を強いられる奴隷という存在がいたからこそ働かなくともパンとワインという事が実現されていたとも言われていますが、近代文明の象徴ともいえる”労働”する必要がないという巨大なアルカディアマンションを通して、そこに暮すクリエイターや一族の娘などの大河ドラマ的な物語が終末に向けて展開される感じのSF文芸作品と言えるかもしれません。
我もまたアルカディアにあり (ハヤカワ文庫JA)
発売日:2015/6/24)
あらすじ(Amazonより):「我々は世界の終末に備えています」そう主張する団体により建造されたアルカディアマンション。そこでは働かずとも生活が保障され、ただ娯楽を消費すればいいと言うが……創作のために体の一部を削ぎ落とした男の旅路「クロージング・タイム」、大気汚染下でバイクに乗りたい男と彼に片思いをする不器用な少女の物語「ラヴィン・ユー」など、鬼才が繊細な筆致で問いかける、閉塞した天国と開放的な煉獄での終末のかたち。
しろ: 働かなくても生活が保障されるユートピアにも見えるアルカディアを建造したある一族の年代記のような作品です。何もしなくても生活が保障され、娯楽を消費してさえいればいいという生活は盛大を重ねるにつれて生きる事って「?」という視点をいろいろな面で映し出してくれる感じがする作品だと言えるかもしれません。
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