著者:八重野 統摩 (著)
イラスト:
出版社:メディアワークス文庫
物語の視点が誰の視点かって結構重要だなぁというのを感じさせてくれる作品だと思います。この物語は絵描きを目指す主人公視点で紡がれます。伊豆諸島の外れにある島へ渡り、夏の数週間の間、筆を執り絵を完成させようと決意する主人公は絵が完成しなければこの島に骨を埋めよう考えています。
そんな主人公が島で出会った不思議な女性志穂。彼女は彼が絵を描いている場所の近くい住んでいる女性の様なのですが、島には珍しい美しい女性で、蓮の池に幽霊がでると明かしてくれます。
主人公の青年は、彼女が何か秘密を隠していると思い作中彼女の妹やお店のおばさんなんかに探りを入れるのですが、実は、その秘密というのは、彼自身の事だったんですね。
実は彼は1年前に自殺いていて、この物語を一緒に読み進めてきたような主人公自体が実はミステリーそのものだったという落ちになるわけですが、作中に登場する志穂やその妹、島で雑貨屋を営むおばあさん、のんびりとした島の暖かい人達とのやり取りなんかは心和むものがあると思います。
殺伐とした中で頑張っている人なんかは、実際自分が人間らしくいきているのかどうかわからなくなることもあるかもしれませんが、この物語は画家として追い詰められたみたいな主人公が、死してなお、絵を仕上げようとその思いの思念が成仏されずにいる..それものんびりとした南の島で、暖かく見守ってくれる島の人達に囲まれて・・というのがある意味一種の天国だったりするのかもしれない・・と一瞬思ってしまうところがあったりします。
終わりの志穂さんは優しすぎるから (メディアワークス文庫)
発売日:2015/8/27
あらすじ(Amazonより):七月、咲留間島。東京のはるか南に位置するその島で、俺は絵を描いていた。もしこの夏の間に、画家として納得できる作品を描けなければ、その時は筆を折り、この島に骨を埋めようと覚悟して。 そんなある日、俺は織川志穂と名乗る女性と出会う。穏やかで可憐な彼女は、幽霊が見えるのだと言った。 その真偽はわからないまま、しかし俺は自然豊かなその島で彼女と時間を共有する。 蓮池の女霊、ハマユリに見える少女の呪い。そして、消えた彼女の父親。 俺はそうした謎に触れるうち、彼女が何かを隠していることに気付いてしまい――。
くろ: 和やかな南の島での出会う画家と不思議な女性。予測できない結末に、思わず衝撃な感じを覚える作品ですが、決して後味はわるくはないです。この物語に出てくる志穂さんや雑貨屋のおばあさんのような優しい人に囲まれていたら、もっとちがった人生があったかもしれない・・ともちょっと思ってしまいます。
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