著者:柴田勝家 (著)
イラスト:
出版社:ハヤカワ文庫JA
「人の死と存在」をテーマにしたSFものです。人の意識というのは有機体である脳の活動によって発生しているように考えてられていますが、その活動をつかさどるすべての生態ログを完全に保存しておき、ある人の死後、その生態ログをもとに、生前の意識が完全復活したとしたら、その人は生前の人物と同じものだといえるか?サクラダ・リセットなんかも異能をテーマに、コピーされた人格は本人そんものと言えるかという命題について扱っていますが最近難し哲学の命題がライトノベルなんかでも数多く出てきていますよね。
でもこのニルヤの島については、ちょっと難解な感じの本格的なSF仕立てになっているところがかるーいラノベとはちょっとちがう読み応えが楽しめるかもしれません。
生態ログにより、死後も完全に意識が復活するという科学的に実現できるようになった事象と、物語の中で出てくる、ミクロネシア連邦に存在しているとされる最古の宗教:「人の魂は死後:ニルヤの島」に行くことができるという教え。
人の人格と意識は科学的に再現できるかもしれないが、ログに記録された意識や人格のデータというのはあくまでもコピーであって、実際に経験した本人の実態といはいえるのか?魂という概念と生態いログにより生成される人格の違いはあるのか?そんな哲学的なテーマを考えさせれらる作品と言えるかもしれません。
ニルヤの島 (ハヤカワ文庫JA)
発売日:2016/8/24
あらすじ(Amazonより):人生のすべてを記録し再生できる生体受像(ビオヴィス)の発明により、死後の世界という概念が否定された未来。ミクロネシア経済連合体(ECM)を訪れた文化人類学者イリアス・ノヴァクは、浜辺で死出の船を作る老人と出会う。この南洋に残る「世界最後の宗教」によれば、人は死ぬと「ニルヤの島」へ行くという――生と死の相克の果てにノヴァクが知る、人類の魂を導く実験とは? 新鋭が圧倒的な筆致で叙述する、第2回SFコンテスト大賞受賞作
しろ: 難しい哲学書ってなかなか読むのが億劫ですが、小説やライトノベルで哲学なテーマを扱った作品から入っていくというのはありかもしれません。現代科学では不可能とされる人格の保存ができるようになると人の人格って?魂って?というテーマに行き着くことになるのでしょうが、物語を通してこういことを考えてみるのも時にはいいかもしれませんね。
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