著者:三秋縋
イラスト:
出版社:メディアワークス文庫
「いたいのいたいの、とんでゆけ」という作品は、「先送り」の能力を持つ少女と親友が自殺して自暴自棄になった青年の出会いからはじまります。
その出会いとうのが自暴自棄になって飲酒運転をしてその少女を轢いてしまった事からというもの。本来死ぬはずだった少女は彼女の「先送りの能力」を使って10日間死期を先送りしたというではありませんか?
そんな少女は、彼女を轢いた主人公に10日間を使って「彼女の人生を台無しにした連中への復讐を手伝ってくれるわよねぇ」と迫り、主人公は殺人鬼のように復讐を遂げていくます。
ただしここには裏があって、彼女の「先送りの能力」はその効力が過ぎればなかったことになるという設定になっています。その効力の期間は彼女受けた憎しみの感情と不幸の大きさに比例するというものですが、主人公が彼女を車で轢いたという事実は10日後には実際の事となり、主人公は本当の殺人者になってしまう訳です。でも彼女の為に復讐して殺す人間はその効力がなくなれば無かったものになるというパラドックスがこの作品の面白い所かもしれません。
主人公の男性は車で少女を引いてその少女が死んだという人生の汚点を残すことになるわけですが、血だらけになった2人が10日間の期限が到来する最後の瞬間に少なくとも車で轢いてしまった女性の願いは叶うんですね。
現実に戻ったら殺人者としていくばくかの罪を背負うことになる主人公が、彼女の復讐の手伝いをする10日間に彼女に恋をする・・。「自分で殺してしまった少女に恋をしてしまい彼女の復讐を手助けする」主人公・・・10日間という限られた期間で展開される大人のボーイミーツガールな恋の展開と、切ない終わりの時がなんだかジーンと来つつも、不思議な余韻が心に残ってしまう作品だと言えますね。
殺してしまった女の子に恋をしていまう・・なんかこうイケナイ恋感と、彼女の復讐をしながら血だらけのになっている二人のイメージは衝撃的な何かを感じてしまいます・・。
三秋縋(みはしすがる)とう作家さんは2chにいくつかの作品を発表後メディアワークスでデビューしたという経歴の方のようですが、「スターティングオーバー」とか「三日間の幸福」なんかもそうなのですが人生をお金に換算したり、時計の針をまきもどして、普通ならしない同じ選択をすることで、人生の歯車がくるったりとSFファンタジーな要素をまじえながら心が揺さぶられるような伏線と、最後にこうなるのね!とい知的である種のカタルシスを得られる作品が多いですね。
発売日:2014/11/21
あらすじ(Amazonより):"自分で殺した女の子に恋をするなんて、どうかしている。 「私、死んじゃいました。どうしてくれるんですか?」 何もかもに見捨てられて一人きりになった二十二歳の秋、僕は殺人犯になってしまった――はずだった。 僕に殺された少女は、死の瞬間を""先送り""することによって十日間の猶予を得た。 彼女はその貴重な十日間を、自分の人生を台無しにした連中への復讐に捧げる決意をする。 「当然あなたにも手伝ってもらいますよ、人殺しさん」 復讐を重ねていく中で、僕たちは知らず知らずのうちに、二人の出会いの裏に隠された真実に近付いていく。 それは哀しくも温かい日々の記憶。そしてあの日の「さよなら」。"
かりん: 車で轢いてしまった少女が十日間だけ時間を先送りして自分を轢いた男性に復讐をしてもらう話なのですが、その中で男性は女性に恋をしてしまいます。先送りの効力が切れると、男性は少女を車で轢いて殺してしまった罪は現実のものとなるんですが、自己犠牲の精神の元、好きになってしまった女性のために人を殺す(復讐する)というある意味人生を棒にふるような行為をささげる主人公と女性との狂った恋!?の行方が切ないというか・・・そんな感じの物語だと思いました。
SF , カテゴリ , ラノベ・原作 , 文芸 , 更新情報 , 現代ファンタジー , 青春・恋愛・ラブストーリー タグ: 三秋縋
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